ヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)の略で、現在までにヒトでは皮膚に感染する型と粘膜に感染する型とで100種類以上の型が発見されています。このHPVの一部の型において子宮頸部がんの原因になることが判っています。
2008年、HPVが子宮頸がんの原因であることを突き止めたドイツがん研究センターのウイルス学者ハラルド・ツア・ハウゼン氏がノーベル医学生理学賞を受賞しています。
HPVはがん化との関連から、低リスク型HPVと高リスク型HPVとに分けられます。外陰部にできる良性のいぼ(尖圭コンジローマ)などは低リスク型HPVであり、がん化するリスクは低いと言われています。一方、高リスク型HPVに感染したからといって必ずしもがん化するわけではありません。たとえHPVに感染してもほとんどが一過性の感染であり、免疫力により自然に消失します。高リスク型HPVが長期間(平均で10年以上の長い期間)持続感染することによって子宮頸がんに進行する可能性が出てきますが、必ずしも全ての人ががんになるわけではありません。高リスク型HPVには、16、18、31、33、35、52、58など十数種類の型があります。