BDダイアグノスティックスは、50年以上にわたり微生物検査製品を提供してきました。1935年6月、ジョーンズ・ホプキンス病院の Theodore J. Carski、Einar Leifson博士により設立されたボルチモア生物学研究所(Baltimore Biological Laboratories)が、われわれの始まりです。ここで最初に製造された製品は、粉末培地でした。
その後、微生物用培地に添加する窒素源、ペプトンの研究に着手すると同時に、3種の新しい培地、セレナイトーFエンリッチメント,デソキシコレート寒天培地、グラム陰性菌の分離選択培地であるデソキシコレートークエン酸塩寒天培地の製造を始めました。これらの培地は、現在、数百種類に及ぶ培地と共に現在も製造されています。
ボルチモア生物学研究所は、John Brewer博士の発明とリーダーシップで、大きな発展を遂げました。Brewer博士による初期のピペットは、この研究所で製造され、ガス・パックの先駆けとなるBrewer嫌気ジャーは、ルーチンの嫌気性細菌検査を実用的で安全なものを可能にしました。
その後も、新しい発見が相次ぎました。還元剤であるチオグリコール酸ナトリウムの添加により、嫌気性菌増菌培地として、チオグリコール酸培地が作られたほか、新しい成分を加えることにより多くの培地が開発されました。これら培地には、現在多くの方々に愛用していただいている、トリプチケースペプトン、膵消化カゼイン、ファイトンペプトンやトリプチケースソイ寒天培地、トリプチケースソイ・ブロス、その他多くの培地に利用されているパパイン消化大豆ペプトンなどが使われています。
第二次世界大戦以降は、非経口薬による治療の時代となり、それに伴い、製薬業界において、無菌的な充填機器や、信頼性のある滅菌培地へのニーズが高まりました。このニーズにこたえるべくボルチモア生物学研究所(BBL)は、ピペット、そして、バイアル、アンプル、その他の小容器の洗浄・処理機器等の製品をこの市場に導入し、BBLブランドの培地、および関連製品を普及させましました。
1947年、BBLはベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー(BD)と共に、血液検体を直接採血管に採取することができる血液採血管、 VACUTAINERブランドの共同開発に着手しました。数年にも及ぶ共同研究開発は、BDとの関係を深め、1955年にボルチモア生物学研究所(BBL)は、BDの1事業部門となり、同年、製薬業界の要望にこたえるべく、抗菌薬を染み込ませたディスクを採用した感受性検査製品である「センシディスクシステム」を発表しました。
その後の10年間で、多くの新しい抗菌薬が市場に登場しました。そのため、抗菌薬感受性検査ディスクを手作業で培地プレートに配置するという従来の作業方法は、検査技術者に大きな負担となっていました。センシディスク・ディスペンサーは、この作業を容易にする初めての半自動器具として発表されました。
1952年、アメリカ版Lowenstein-Jensen培地の組成を導入し、試験管培地が市場に登場しました。また1960年には、BBL粉末培地、Falconブランドのペトリ皿および、自社の動物飼育施設の動物血液を商品化した培地プレートの開発により、さらに培地製品が拡充されました。 1968年には、ペトリ皿の製造のためにプラスチック製造センターを設立しました。それ以来、ベクトン・ディッキンソン・マイクロバイオロジー・システムは培地プレート製造において世界最大手のメーカーとなりました。
その他にも1963年に凝固検査製品Fibrometer、翌年には使い捨て水素発生パック「ガスパック」〔後に二酸化炭素発生パックも登場〕、 1966年には、嫌気性菌検査の安全性を重視して、触媒を加えた「ガスパック・ジャー」、1974年には、生化学試薬を染みこませたディスクを利用した小型化微生物識別システム、「ミニテック」を発表しました。
1965年後半、BDマイクロバイオロジー・システム(現 BDダイアグノスティックス、ダイアグノスティックシステムズ)は、ボルチモア中心地から、北へ約24kmSparksという町に位置する工業団地に移転し、以後の成長拡大を可能にしました。
BDは1985年に、姉妹会社であり免疫検査製品においてはリーディンカンパニーであったHynson Westcott and Dunning社を吸収合併しました。木炭粒子とラテックス凝集を利用して、患者の血清から特異抗体を検出する血清カード検査、MacroVue RPR、RFカード検査、Rubascan、およびCMVスキャンシステム等は広く利用されています。さらに、BDは直接患者検体から抗原を検出する免疫系検査製品である、Directigen製品群を販売しています。最近では診断検査用のリポソーム試薬を開発することにより、免疫学分野における技術の視野を広げています。
1987年に、BDがGIBCO Laboratories社を買収し、2大培地メーカーの経営資源と事業活動が統合されました。これにより、BBLブランドの培地が拡大し、販売製品の幅が広がりました。
BDダイアグノスティックスは、これからも高品質製品、並びにより良いサービスをお客様に提供していきます。製品は厳しい品質管理の下に製造され、 BD流通システムを通じて、アメリカ国内の各地事業所から国内、および海外の200に及ぶ販売拠点に供給されています。また、ドイツと日本には海外培地製造工場があります。われわれはコミットした営業活動を通して、お客様に総合的なサービスを提供しています。
単なるパートナーシップから出発し、多くの医療器具を扱うメーカーへの発展を可能にした基礎となったのは、日々の厳しい品質管理、製品改良、そして研究開発です。BD BBLブランド製品へのすばらしい評価は、弊社の社員のみならず、医療技術の改良、開発に貢献してきた「創始者たち」への賛辞でもあります。