Q2 なぜ、グラム染色の自動化に取り組もうと考えたのでしょうか。
創業者は私と山田 達也〔GramEye社 取締役/医師(大阪大学大学院医学系研究科)〕ですが、山田には認知症や急性心筋梗塞などの社会課題を解決したいという目標がありました。2017年には東南アジアの不適切な抗菌薬の処方について現地調査をした経験があり、当時、彼が進めていた事業はタイ王国における下痢症の診断ボットというもので、タイ語のラインボットとして下痢の症状を入力していくと抗菌薬が必要かどうかをその場で返信していくというものでした。
私は広島県の県北出身で、医師不足が問題だった地域ですが、山田と同様、純粋に医師になろうというよりは、まだ世の中にない、新しいモノやサービス(価値)を生み出したいと考えており、大学の初期には会計学も学んでいました。また、プログラミング技術も勉強し、当時の研究室でAIやwebアプリケーションも作っていました。
あるとき、大阪大学病院の検査室に伺った際に、検査技師さんがグラム染色を行っており、その場でおおよその結果を答えている姿を目にすることができました。しかし一方で、カルテでの結果報告は多くの場合は4分類で報告されており、また、結果報告までのリードタイムが長いのが実態でした。