そう気づいたら、すぐに2つのアクションを起こします。当面の対策と疫学調査です。疫学調査の手法をシナリオに沿って学んでいきましょう。
学びのポイント
・記述疫学の実際
・症例定義の作り方
・(エクセル)エピカーブの書き方
・(エクセル)アウトブレイク疫学調査に必要な統計学の基本
ある病院でのシーン
A病院の感染管理担当者であるBさんは、2022年4月からCAUTIサーベイランスを実施しています。2023年7月からCAUTIが連続発生したため、データを解析し、アウトブレイクと判断しました。症例定義に基づき、次の項目を情報収集してラインリストに整理しました。
尿培養検体採取日および培養結果、臨床症状の有無、症状の内容、発現日、年齢、性別、基礎疾患、尿道留置カテーテル挿入日、継続留置日数、薬剤耐性菌の保菌の有無、カテーテル種類、カテーテル材質、清潔ケア(シャワー浴、陰部洗浄、陰部清拭等)
収集したデータから、CAUTI患者に共通する特徴として、高齢、男性、基礎疾患あり、カテーテル留置期間が長いことが確認されました。したがって、高齢、男性、基礎疾患の条件を満たす患者をCAUTIハイリスク患者として特に注意深く観察し、尿道留置カテーテルの利用を最小限に留めるよう病棟スタッフと関連診療科に周知しました。また、病棟スタッフおよび関連診療科に、尿道留置カテーテルの要否を毎日必ず評価することを徹底しました。