座長:井上 茂亮 先生 神戸大学大学院医学研究科 外科系講座 災害・救急医学分野
杜の都の血培物語1~医師の物語
演者:志馬 伸朗 先生 広島大学大学院医系研究科 救急集中治療医学
血液培養検査はICU診療においてもはや欠くことのできないアイテムだ。ほぼ全てのICUで毎日提出されているのではないか。この検査を上手く適用し、活用することが、重症感染症患者管理における鍵となる。そのためには検体を採取してから結果を解釈するまでの全過程において、特にベッドサイドの医師・看護師による正しい理解と知識の更新,適切な実践が不可欠である。
しかし、ベッドサイドには依然としていくつかの落とし穴,限界や誤解が存在する。そして何よりも、ベンチ=検査技師との間に、意志疎通不足や壁があり、適切な実践の妨げとなっている。解決策が必要だ。
日々繰り広げられる重症感染症との戦いにおける血液培養物語を紐解きながら、血液培養のチカラを十二分に発揮させるために私達がなすべきことについて、杜の都で一緒に考えましょう。
杜の都の血培物語2~技師の物語
演者:福田 修 先生 大阪医療センター臨床検査科
血液培養検査は重症感染症の原因菌診断として診療に欠くことのできない検査の一つである。血液培養が陽性となり細菌の検出をみれば重症感染症であるため、臨床へ迅速に結果を提供する必要がある。しかし、実際には結果報告までに時間を要しており、医師たちの望むタイミングでの情報提供ができているとは言えない。
近年、質量分析装置や遺伝子検査機器など、迅速に情報を得ることが出来る機器が登場し検査室への導入も進んでいる。これらの機器の中には血液培養が陽性になった時点の培養液を用いて、細菌の菌種同定や一部の薬剤耐性遺伝子検出が可能なものもある。より早期に妥当性のある結果を得る事ができるため、これら機器を活用しない手はない。
一方で、迅速機器の導入が結果の迅速化に直結するわけではない。この新しい技術の導入をトリガーに、現状の検査体制に変革を起こせるかは技師と医師のコラボレーションが肝になる。
本講演では、技師がおこなう血液培養陽性後の検査フローを紹介しながら、これまでの技師次第の検査体制からベッドサイドを意識した検査体制への脱却に向けて、先生方からのご意見を伺いたい。