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血培とは

血培(血液培養)とは、患者さんの血液を採取して液体培地の入ったボトルにその血液を入れた後に35℃で数日間培養する検査です。
 ヒトの血液の中は常に無菌の状態に保たれており、細菌や真菌は存在しません。しかし、何らかの理由により血液中に微生物が侵入することが有ります。この状態を「菌血症」と呼びます。「菌血症」は生体にとって異常事態であり、血流に入った菌が全身を飛び散って感染が拡大したり、生体の過剰な反応によって「敗血症」と呼ばれる深刻な病態を引き起こすことが有ります。
 そのため感染の原因となっている微生物に有効な抗菌薬で治療する必要があります。その原因微生物を検出するためには血液培養が有効です。なぜなら本来無菌であるべき血液中に存在する菌は、その感染症の原因菌である可能性が高いからです。
 血液培養が陽性になると原因微生物を生きたまま捕まえることができるので、同定検査によってその菌に名前を付けて(大腸菌:Escherichia coli ・・とか)、薬剤感受性検査で治療に最適な抗菌薬を知ることができます。その結果、感染症の診療の質が向上し、近ごろ話題となっているAMR(薬剤耐性)やAS(抗菌薬適正使用支援)の実践も容易になります。
 血液中に菌が存在していてもごく少量のことが多いため、通常の採血よりもたくさんの血液を採取します。1回の採血は約20mLを目標に採血し、それを2回行います。皮膚に存在する雑菌が培養ボトルに混入すると原因微生物かどうか判別しにくいので採血部位の消毒は丁寧に行います。培養に時間がかかる菌もいるので5日間程度培養します。血液培養が陽性になったら速やかに菌を同定し、薬剤感受性試験をおこないます。最近では遺伝子技術や質量分析を利用した菌の迅速同定も利用できるようになりました。目的は一刻も早く患者さんに最適な治療を施すことです。
 このように血液培養は感染症診療の質を向上させ、そのアウトカムとして患者さんの予後を改善し、治療日数の短縮や不要な抗菌薬を削減することによる医療コストの低減も期待できます。

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