—微生物検査の迅速化を促進する上で、検査部に求められるものはなんでしょうか。
栁原 最新の機器やシステムを導入することにより、微生物検査の結果報告までの時間が短縮化されますが、そのことを臨床医に周知徹底することがポイントです。臨床医からの問い合わせの有無にかかわらず、検査結果が報告できるまでの日数など、具体的な情報提供を検査部から積極的に行うことが重要です。また、検査結果の迅速な報告は臨床医の抗菌薬の選択や適正使用において重要な役割を担うことから、結果的にAMR対策アクションプランにも貢献すると思います。機器やシステムのハード面とコミュニケーションというソフト面の「両輪」がそろってこそ、微生物検査の迅速化が促進されると考えています。このことは、先のアンケート結果において、「治療の精度が向上する」という回答が臨床医の7割にとどまっていることとも関係します。つまり、検査部から積極的な情報提供を行うことで、微生物検査の迅速化による治療精度の向上を実感できる臨床医が増えるのではないでしょうか。
—検査部からの積極的な情報提供について、先生が実践されてきた改革についてお話しいただけますか。
栁原 迅速化が実現可能な微生物検査機器を導入したとしても、それを扱える検査技師がいなければ、検査結果の報告までの期間は短縮できません。とはいうものの、年中無休、24時間体制で検査室を稼働させることは、検査技師の疲弊につながります。そこで私は、当施設の検査技師を5人から8人に増員するよう病院と交渉しました。これにより、個々の検査技師の負担を増やすことなく土日祝日も稼働できる年中無休の体制が実現できました。