国内の自動同定感受性検査機器は、長時間培養型のいわゆる従来型自動機器が主流であった。このため微生物検査による臨床支援は時間がかかる検査として認識され、臨床医からも一定の理解を得られていたが、耐性菌の増加、血液培養検査の増加、感染管理加算の創設等により、同定感受性結果報告の迅速化や感染管理に役立つ価値あるデータ集計への要望は年々高まってきている。また感受性試験においてはPK/PD理論による感染症治療が広まっており、必要最小限の薬剤濃度による報告から、より正確で幅広いMIC値報告が求められ始めた。
当院ではこのような時代の変化を背景に、迅速性と正確性を両立した機器として、BDフェニックスシステムを導入し、同時に当該機器では検査できないインフルエンザ菌や嫌気性菌用として、CCDカメラによる客観的判定が可能な栄研化学社製IA01MIC mk㈼を併用することとした。オペレーションシステムは感染管理に生かせるデータ集計や治療に伴う各種情報を迅速かつ正確に報告するために、BD微生物検査システムを導入した(図1)。
BDフェニックスシステムは、同定は最速2時間から、感受性試験は最速4時間から結果を出すことが可能である。またこれらの迅速判定結果は、同定結果や個別の薬剤の感受性試験結果が終了した時点でリアルタイムに報告することができる。われわれはこの迅速性とリアルタイム送信機能を利用し、中間報告を劇的に迅速化させた。
図1