臨床検査部は宿直制を導入し、夜間のさまざまな緊急検査等へ対応しているが、微生物検査業務としてはイムノクロマト法を用いた迅速検査以外に、診断的価値の高い血液培養の受付・培養と血液培養陽性時の処理も行っている。BD バクテック FX システムは、培養陽性時には赤いランプが点灯することから、宿直者が隣室で作業中でも、部屋を区切るガラス壁を通し、培養陽性に気付けるよう機器の設置場所を考慮した。
宿直者は、培養陽性ボトル以外に、セット採取されたボトルも同時に処理を行う。当検査部の血液培養陽性時処理マニュアルに従い、内容物のグラム染色鏡検・報告と平板培地(血液寒天培地、DHL寒天培地、コロンビアCNA血液寒天培地)での培養までを実施している。グラム染色の結果からは可能な限り菌種の推定と陽性本数の報告を行う。これらによる迅速報告による効果として、感染症の有無や使用抗菌薬の確認・選択や見直しが可能となり、臨床側からの期待や反応は大きい。
また、平板培地での培養も行っていることから、微生物担当者が朝一番で同定・感受性検査が実施可能である。これにより同定検査は数時間後、感受性検査結果は夕方ごろには80〜100%完了しており、MRSAやESBL産生菌の迅速報告も行える体制になっている。
以上のように血液培養陽性時における分離剤入り採血管使用や宿直者による陽性ボトル処理により、12〜24時間の大幅な報告時間短縮が可能となっている。