【図1】1,000patient-day当たりの血液培養数
【図2】提出件数と2セット率の年次推移(患者ベース)
救急・集中治療科長で感染対策室長を兼務する杉田学・同大医学部教授は「満床という理由で救急を断らない。病床が満床でもいったん当院で受け、診断がついてから、必要に応じて近隣の病院に搬送する連携がうまく機能している」と話す。医療体制の薄くなる夜間帯は、近隣の病院に専門医がいるとは限らない。細菌感染疑いでは練馬病院で血液培養検査を行いつつ治療方針を決め抗菌薬治療を開始してからであれば、近隣の病院も患者を受け入れやすい。
血液培養数は1000patient-days当たり45.6(17年、図1)。病院開院(05年)以来、一貫して増加傾向にあるが、特に目を引くのは2セット率の高さ。成人は98.9%、小児でも38.1%に上る(17年、図2)。だが当初から高かったわけではない。開院当時の20.0%(06年)から急上昇した背景には、初期研修医に感染症教育を行い、感染症コンサルタントの医師を招いた講習会を院内で開き、さらに年間28回に上る感染対策講習会を続けるといった地道な取り組みがあったという。
杉田氏は、2セット率が上昇した一番の理由に研修医への教育効果を挙げる。「最初に研修医を受け入れた08年から、臨床検査科に協力してもらい、グラム染色と感染症診療の教育をした」。細菌検査室では、夜間でも臨床医が出入りしグラム染色ができるようにした。そして初期研修オリエンテーションにはグラム染色のプログラムを組み入れた。当時の研修医がその後、指導医になり、2セット率のさらなる上昇へとつながっていく。
2セット率の上昇とともに血液培養数は増え、10年、細菌検査室にあった「BDバクテック™9000システム」のボトル搭載能力を120本から240本に増強。さらに検体数が増えたことを契機に15年2月、「BDバクテック™FX40システム」を救急室に配備し、FXシステムの400本と合わせて計440本とした。「BD EpiCenter™システム」を通じ細菌検査室が両装置の状況を監視する。