藏前氏
刈谷豊田総合病院(愛知県刈谷市、704床)の藏前仁氏は、CPOパネルを採用し薬剤感受性検査から確認検査、結果報告までのCPE検出のフローを標準化したことを報告した。
同病院は、年約1万台の救急車を受け入れる市中急性期病院。臨床検査科の臨床検査技師56人のうち、藏前氏含め4名のICMTがいるが、1名はICT専従へ異動、もう1名は産後休暇中、藏前氏自身は管理職のため実作業ができる時間は限られている。その中で現場は経験年数の浅い技師が奮闘しており、各技師の経験差が結果報告に影響しかねないことを課題に感じていたという。
藏前氏は、「追加検査を含めた結果の解釈や判断に個人差がある」ことを取り組むべき課題に据え、対策として耐性菌検出の検査フローをマニュアル化。2020年1月までにマニュアルに基づき全ての担当技師が検査できるようにした。その際に策定した「CPE 確認検査簡易マニュアル」は改訂を重ね、現在第6版になった。
CPOパネルの測定結果は良好(感度・特異度ともに82%)とし、マニュアルでは、CPOパネルの結果、TAZ/PIPC、LMOX、MEPMの3剤のMIC上昇を認めた場合、CPE(non-CRE)を疑うとし、CPE確定時などは「BD マックス™ 全自動核酸抽出増幅検査システム」で精査するなどと規定。CRE確定後は、微生物検査システムのコメント欄に「CPE」「non-CRE」を記載し、ICTに発生届を提出するとした。第6 版では、「困った場合はとにかく、上位技師へ相談」との一文を加えた。
また、耐性菌検査の実施時には担当技師が結果入力画面に印を付け、診療報酬の「薬剤耐性菌検出」(50 点)が適切に請求できるよう、医事部門と情報共有している。
藏前氏は、「(微生物検査室は)経験年数の浅い技師が多く、最も困難である薬剤感受性結果の判定から確認検査、結果報告までのフローを可能な限り、見える化した。CPOパネルやBD マックス™を仕組みに取り入れることで迅速、正確、効率の良いワークフローが構築できた」と結論付けた。