Q リンクナースの感染対策活動の現状についてお聞かせください。
廣川 : リンクナースはまず年度始めに、病棟の感染対策の課題と目標、計画を挙げます。
基本的に病院、看護部、ならびに看護部感染対策委員会の課題と目標に沿いますが、優先順位などを含めて、より具体的な現場の課題と行動目標を明確にします。
さらに評価項目も挙げ、9〜10月ごろには中間評価を実施します。ちなみに、私の病棟では2006年度の目標は、表1の5つを挙げました。
リンクナースは他のスタッフとともに行動目標に基づいて日々の感染対策活動を実践するとともに、MRSAなどその時々で発生した問題にもリーダーシップをもって対処します。
また、病棟の特殊性を反映した独自のマニュアルを(病院のマニュアルから外れない範囲で)作成したり、感染対策を実践しやすいよう物品の配置場所の工夫をしたりしています。
例えば、針廃棄容器を病院で新たに導入する際にも、実際に現場で使用可能かどうかを評価することは重要であり、このようなトライアルの実施先として現場で実践可能な対策のモニタリングも率先して行っています。
飯澤 : 日常的な感染管理活動の中核を担うのは「感染管理室」です。
微生物検査室から感染管理上重要な菌検出の第一報が入ると、直ちにカルテを開いて、病棟に出向いて指示するというのが基本的な活動になります。
専任ICNがいることで情報の交通整理ができ、時間も短縮できるし、病院の感染対策が高いレベルで維持できるようになりました。
荒木 : 「感染管理室」は感染対策の実働部隊という意味から実質的には「院内感染対策委員会」に対応するICTと位置づけています。
感染管理の上で問題が発生すると「感染管理室」に連絡がきます。それを受けて、私とICDが介入していくという形です。
主任看護師だけでなく、入職1年目や2年目の看護師からも私のところに連絡が来ます。
「感染管理室」に寄せられる報告に関して実際に対応したのは2005年度実績で年間114件です。これは、「感染管理室」として対応しなければならないもの、例えば流行性結膜炎が病棟で出た場合の、個室隔離の対応などです。
このほかに、個々の患者様へ投与すべき抗生剤は何かといったコンサルテーションがICDにいきます。
これが年間125件。そして、私のところには、洗浄をどうしたらよいか、ゴミ箱の位置をどうしたらよいか、サーベイランスをどうするかといった質問など90件の報告が来ています。
飯澤 : こうした報告については、細かい質問についてもどう答えたかを記録し、毎週木曜日に、前週の報告、連絡、相談についてすべてを「感染管理室」にあげて、判断が間違っていないということを確認しています。
荒木 : 専任ICNの配置によって、初期対応が早くなり、そしてフォローアップも継続してできるようになりました。従来は、その後感染がどうなったかについてフォローアップできなかったものが、現在は、結核などは全員転院されるまで、他の菌であれば検出されなくなるか、退院されるまでこちらで全部確認しています。
廣川 : 電子カルテによってどこでも書けて、どこでも見ることができるようになっています。リンクナースも、もちろん常に見ることができるので、適切に連携されているかの確認に役立てています。