ガイドラインの策定に関してこれまでのガイドラインと大きく進歩した点が2つある。
(1) システマティックレビューの文献を引用していること(※訳注:システマティックレビュー[systematic review] とは,あるテーマに関して一定の基準を満たした質の高い臨床研究を集めそのデータを統合し,総合評価の結果をまとめた文献のこと。世界中で行われている臨床研究のデータを集積しているので信頼性は高く,多くの文献を読む労力を省くことが可能となる。代表的なシステマティックレビューにはコクラン共同計画[The Cochrane Collaboration,http://www.cochrane.org/] がある。)
(2) 臨床ガイドラインの勧告に関する査定,開発,評価に関する等級付けシステム(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation [GRADE],http://www.gradeworkinggroup.org/) の手法を適用していること。
さらに,引用文献の質的評価や勧告の水準を決めた要因に関しての付録資料も公開されている点も今までにガイドラインにはない試みである。
今回のガイドライン改訂の特徴として,病院内にとどまらずに医療を提供している全ての環境に対応して策定されている。
基本原則として(1)不必要なカテーテル留置をなくす(あるいは留置するにしてもその期間を短縮し),(2)過剰な微生物学的な検査の実施や予防的な抗菌薬投与についても慎むべきであることを強く主張している。
カテーテル留置の代替法としての間歇的自己導尿についても詳細なレビューがなされている。