Q9 アウトブレイクが早期終息したポイントについて教えてください。
須川:当院では何か問題が起きたときには、スタッフが一丸となって協力し合います。アウトブレイクの際は、病棟の掃除や患者の移動のために、連休中でしたが師長や課長クラス以上のスタッフも出勤して作業にあたりました。8 月にアウトブレイクが起きましたが、翌年1 月以降は新たな保菌患者はなく3 月には終息宣言を出せたのは、患者のことを考え、協力し合ったスタッフの姿勢によると思います。
アウトブレイクにより入院制限をしたことで、2008 ~2009 年における当院の収益は大きく低下しました。患者にも多大な迷惑をかけ、スタッフも心身ともに大きな負担を強いられました。そのため、アウトブレイクが起きないよう、十分な感染対策を行っていく必要があることを実感しました。
大塚:検査側としては関係者の大変さが伝わってきたため、スクリーニング結果が陰性であり、アウトブレイクが終息したという結果を、早く報告したいと思っていました。
山田:アウトブレイクの際に一緒に苦労した仲間という意識があるので、これからも何事にも協力したいと思っています。
当院経営層は現場に非常に協力的で、患者の役に立つと思われる対策を積極的に受け入れてくれます。感染対策に有効と判断すれば、思い切った設備投資も行います。
稲垣:たとえばアウトブレイクの翌年には、ベッドパンウォッシャーを導入することを決め、全病棟に改善工事を行って取り付けました。
須川:また、地域の基幹病院として、患者を絶対に断らないというのが基本姿勢であり、救急車は絶対に断りません。ベッドが空いていなくても来ていただき、診察後、他の病院に送らせていただいています。そのような基本姿勢が感染対策にも生かせたのではないでしょうか。
須川:新人スタッフに対して入職時に、アウトブレイクの経験で病院やスタッフの意識や行動が、どう変わったかを理解してもらい、スタッフや当院の協力的な姿勢について認識をともにするため、オリエンテーションの際には必ずアウトブレイクの話をするようにしています。