情報提供医療機関数は9施設で情報提供症例数は546症例(273ペア)であった。専門領域別では消化器外科・産科婦人科領域で7施設。492症例(246ペア)、心臓血管外科領域では3施設。54症例(27ペア)であった。
すべての症例における術後在院日数の平均値は、SSI非発症症例で15.5日であり、SSI発症症例では36.3日であった(表1)。その差は20.7日でありSSI発症症例で有意に長かった( p<0.001)。
心臓血管外科領域の症例における術後在院日数の平均値は、SSI非発症症例で17.1日であり、 SSI発症症例では65.6日であった(表1)。その差は48.5日であり、SSI発症症例で有意に長かった( p<0.001)。
消化器外科・産科婦人科領域の症例における術後在院日数の平均値はS S I 非発症症例で15.4 日であり、 SSI発症症例では33.1日であった(表1)。その差は17.7日であり、SSI発症症例で有意に長かった( p<0.001)。
同様にすべての症例における術後総医療費の平均値は、SSI非発症症例で444,600円、(1$ =100円で換算、以下同様)であり、SSI発症症例では1,323,700円であった(表1)。その差は879,100円であった( p<0.001)。
心臓血管外科領域の症例における術後総医療費の平均値は、SSI非発症症例で589,500円であり、SSI発症症例では3,442,900円であった(表1)。その差は2,853,400円であった( p<0.001)。
消化器外科・産科婦人科領域の症例における術後総医療費の平均値は、SSI非発症症例で428,700円であり、SSI発症症例では1,091,100円であった(表1)。その差は662,400円であった( p<0.001)。
消化器外科・産科婦人科領域の症例に関して、詳細を分析した。
診療区分別医療費は、SSI発症症例において、SSI非発症症例と比較して、入院費において314,200円、注射費は159,000円、手術費は71,800円多かった(表2)。
SSIのタイプ別の術後在院日数は、表在性、切開深部、臓器感染の順に長くなり、それぞれ21.1日、30.7日、 47.1日となった。また同様に術後総医療費の平均値も、それぞれ633,800円、949,700円、1,637,400円となった(表2)。
分離菌別の術後医療費と在院日数では、いずれの菌種においてもSSI非発症症例よりも術後在院日数が長く術後医療費が高かった。
メチシリン耐性菌分離症例では在院日数が53.2日、術後医療費は1,870,700円であり、他の分離菌の31.3日、1,022,100 円、SSI非発症症例の15.4 日、428,700円に対して在院日数、術後医療費とも有意に増大していた(表2)。