通常疥癬の典型的な症状は、 ① 腹部、大腿内側などに散発する粟粒大の紅斑性丘疹(図1)、 ② 手掌、指間、手関節部屈側、足側縁、趾間、臍などに生じる線状の鱗屑を伴う皮疹(疥癬トンネル)(図2)、 ③ 陰嚢、陰茎、大陰唇、臀部、腋窩などの小豆大の結節(図3)、である。 ① については、皮脂欠乏性湿疹など他の皮膚病に類似しているため、 ② ③ の有無に注意する。特に②は診断のポイントとなる(後述)。ほとんどの場合、顔面、頭部に皮疹は見られないが、乳幼児、高齢者では生じることがある。
角化型疥癬は悪性腫瘍やステロイド内服などによる免疫低下を伴う患者に発症する。通常疥癬患者が誤診されて、ステロイドを内服、外用した場合にも角化型となることがある。典型例では顔面、頭部を含む全身、とくに四肢伸側に牡蠣殻状の鱗屑を付着する(図4)。一方、手、足などに限局して角化が見られる症例もある。角化型疥癬では爪疥癬を伴うことがあり、爪白癬に似た爪甲の肥厚を認める(図5)。また、角化型疥癬患者では瘙痒を訴えない場合があるので注意が必要である。