表1 感染症の迅速診断キットの検査項目
図2 POCT専用機械
販売名:BD ベリター プラス アナライザー
製造販売届出番号:07B1X00003000156
製造販売元:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社
わが国では2018年12月1日に施行された医療法等の一部改正により、初めて医療機関で自ら実施する検体検査の精度保証の基準・規制が定められた。
POCT製品の仕様はメーカーの責任において規格設定されているので、この仕様内で実施することが求められる。したがって検査する際に添付文書や取扱説明書を確実に読んでから実施する。検査にあたって検体の過不足や検体の状態の良否は検査データに影響を及ぼす。診断キットでは検査において非特異的反応や判定に測定者の主観が入るような方法は注意を要する。目視判定時、薄くてもラインが出ていれば陽性であることから、そのラインを見落とさないようにする。判定はLEDライトの明るい照明の下でラインを見るようにし、出ているラインを薄いがために陰性としてしまい治療薬を処方しないことのないようにする。
平素でわかりやすい測定標準作業書(点検・管理、メンテナンス、トラブル対応など)の整備と、それに基づいた管理が必要である。POCTは小口で行われることから、とくに有効期限のある試薬の調達時期予測と保管条件管理には注意すべきことを決めておく必要がある。製品によっては週例や月例、一定検体数ごとの定期メンテナンスを指定している場合があり、これらについては記録簿や予定表などを必要に応じて用意する。
測定値にぶれがないかは、メーカーから出されているコントロール試料を測定して確認する。ただし精度管理に用いるコントロール試料は非常に高価であるため検査の頻度に応じて日々1回、あるいは日々の検体測定数が少ない場合は週1回か月1回の測定でかまわない。コントロール試料を測定したら記録として残し、測定値の変動を見ていく。その際にいつも同じ測定値になっていればよいが、違った測定値を示すことがあれば、メーカーは測定性能の基礎データを保有しているので、メーカーに問い合わせる。なお診断キットはロット単位でしか精度管理が行えない。
作業日誌に記載すべきことは、日誌の記録(検体検査を実施した都度または週~月単位)、項目記録(検査項目ごとの実施件数)、実施件数のうち検査のエラーや不具合の発生件数である。
測定機器や診断キットの精度管理試験結果と関連情報(日時、測定担当者、ロット情報等)を自動的に測定機器内部のメモリーに記録するPOCT専用機械(図2)もあり、精度管理において有用である。