(左)図1 結節気管支拡張型肺MAC症
(右)図2 線維空洞型肺MAC症
各種報告よりわが国での肺NTM症の特徴を概説する。原因菌の80%以上を
M.avium complex(MAC)が占める。中高年以上の特に基礎疾患のない女性例が多い。胸部画像では、いわゆる結節気管支拡張型(図1)が80%程度、線維空洞型(図2)が20%程度である。肺MAC症の原因菌には地域格差があり、中国・四国地方より西では
M.intracellulareが多く、近畿地方より東では
M.aviumが多い。ちなみにMACとは、
M.aviumと
M.intracellulareの総称で、両者による感染症に全く差がないため、まとめて呼称しているわけである。
次に多い原因菌は
M.kansasiiである。肺
M.kansasii症は喫煙男性に多く、肺尖上野の薄壁空洞が画像上の特徴である。従来肺NTM症の10%程度を占めていたが、発生が横ばいのため徐々に相対的比率が低下している。
第3位の原因菌は、
M.abscessusで、MAC症同様中高年以降の女性の結節気管支拡張型を呈する。近年、MAC症同様に増加している。肺MAC症に合併する例も目立つ。