ところで、市中で感染を引き起こす強力な病原体でなくても、抵抗力の落ちた入院患者さんでは、病気ではない普通の人にとっては何のことはないような菌、普通の人には悪さをしないような菌で感染を引き起こし、不幸な結果に到ることもあります。
その代表とも言えるものが、
や
、
、
などです。
これらは一応病原体なので注意は必要ですが、これらの菌の病原性は低いと考えられ、一般の人々に大きな危険をもたらすものではありません。しかし、入院している易感染患者のみなさんの場合はどうでしょうか?
既に述べたように、入院患者のみなさんは理由の如何によらず、体力もそして抵抗力も落ちていると考えられます。従って、このような病原性が低い、あまり悪さをしないと言われる病原体にも抵抗しきれずに、健康な普通の人に比べて、感染が起こりやすいと思われる訳です。
入院する程ではないにしろ、おなかをこわしているとき、また食欲もなく、体力が落ちていると感じているときなどはカゼもひきやすい、と言う心当たりをどなたも持たれた経験があると思います。
これが易感染性であると言うことなのです。
このように院内では、あまり病原性の高くないと考えられる菌にも感染する確率が高まり、感染した場合を
院内感染と言います。ただし、
のように、市中感染を起こす菌でも院内感染の原因となることがあります。