本症例で示したAMIに続発するショック適応リズムを伴う院外心停止は、低体温療法の典型的な例である。ROSCを達成するうえで、除細動と冠動脈再灌流が重要であった。心臓カテーテル検査のための患者搬送が当センターに直ちに依頼されていれば、AMIを確認するまでの時間は短縮され、その後のVFは回避できた可能性がある。本症例では、心原性ショックに関連するAMIであったにもかかわらず、冠動脈再灌流後に血行動態が顕著に改善した。低体温療法後の経過では、心電位に関する合併症はみられなかった。
中等度の低体温療法は、ショック患者に対して厳格な血行動態管理と分析管理を行うことで安全に実施することが可能である。