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症例3 - 心室細動を呈し蘇生後に入院した30代半ばの患者

心停止 心室細動

欧州のケーススタディ集 臨床における体温管理療法

情報および背景

治療実施国:ドイツ
治療実施施設:イムラント・クリニック・レンスブルク

概要

# 目撃ありの心停止、VF、バイスタンダーによるCPRは実施されていない
# 国際ガイドラインが推奨する体温管理療法や予後への道筋を含む詳細な標準業務手順書
# CPC3 → CPC1 への軌跡

医師に関する情報 ラース・シュトラッケ博士

イムラント・クリニック・レンスブルク 循環器クリニック
呼吸器学および集中治療
ドイツ、レンズブルク
体温管理の院内実績 成人の心停止患者を対象に7 年間にわたり体温管理療法を実施。3つの集中治療ユニットにおいて実績あり。
 + 機器・手法  Arctic Sun™ 5000 体温管理システム、4℃の生理食塩水2L/深鎮静:ミダゾラムおよびスフェンタニル*
* 日本では未承認の薬になります

症例提示

患者年齢30代中頃
発見時の状況現地の造船所で、昼食時に心室細動を発現し、その後蘇生した。
初回の所見患者は挿管され、状態は安定しており、完全鎮静下にあった。心臓カテーテル検査により冠動脈疾患の可能性は除外されたが、冠攣縮がみられた。 さらに、気管支鏡検査で重度の誤嚥が認められた。
4℃の生理食塩水2LとArctic Sun™5000 体温管理システムを使用し、患者体温を直ちに33℃まで冷却した。患者は完全鎮静下で人工呼吸器を装着した。
循環を安定させるためドーパミンを使用した。
病院到着前に取られた措置心室細動後に蘇生を行った。
病院到着時の心調律心室細動

冷却療法

体温管理を開始した診療科循環器クリニック
メインの体温の測定部位膀胱
目標冷却体温33℃
目標温度の所要維持時間24時間
目標復温速度0.3℃/時
低体温療法/復温/常温療法に関連した合併症冷却中に行ったECGでは、複数の誘導でST上昇が確認された。心臓カテーテル検査の所見から、冠攣縮が直接の原因であると推測した。移植された心臓では、これはよく知られている。1深部体温を34℃まで上昇させ、ジルチアゼムによる治療を開始し、その後問題は完全に解決した。低体温療法後に覚醒した患者には、臨床的および神経学的な障害はみられなかった。

院内プロトコルに準拠したか

「いいえ」の場合、その理由を簡潔に説明はい

シバリングに対する処置

神経筋遮断薬/鎮静薬ミダゾラムおよびスフェンタニル*
鎮静薬の種類静注
* 日本では未承認の薬になります

転帰

退院時の状態良好
退院時の脳機能カテゴリー(CPC)完全に正常
退院時の患者のステータス:生存/死亡生存

考察

冠攣縮により心室細動が誘発され、蘇生が必要になる場合がある。低体温療法は、特定の患者において冠攣縮を引き起こすことがある。その治療には、目標体温の上昇またはジルチアゼムの使用、あるいはその併用が可能である。


参考文献
1. Coronary artery response to cold-pressor test is impaired early after operation in heart transplant patients.Benvenuti C et al. J Am Coll Cardiol. 1995;26(2):446-4


販売名: Arctic Sun 5000 体温管理システム  医療機器承認番号 : 22700BZX00278000
販売名: Arctic ジェルパッド         医療機器認証番号 : 226ADBZX00175000

※本レポートはBD TTM ヨーロッパチームが作成したものを日本語訳にしたものです。
※今回ご提示頂いた結果は、著者の臨床経験例によるもので、全ての症例に当てはまるものではありません。患者様の状態、特性によって結果が異なる場合があることにご留意ください。
※ 本資料は学術的情報の提供を目的としており実際のご使用に際しては、事前に必ず添付文書を読み、本製品の使用目的、禁忌・禁止、警告、使用上の注意等を守り、使用方法に従って正しくご使用ください。 本製品の添付文書は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品医療機器情報提供ホームページでも閲覧できます。