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症例4 - 心停止を呈した 39歳男性患者の治療

心停止 心室細動

欧州のケーススタディ集 臨床における体温管理療法

情報および背景

治療実施国:フランス
治療実施施設:三次医療センター

概要

# 目撃ありの心停止、VF、ROSCまで15分
# 復温後の発熱管理
# 植込み型除細動器(ICD)留置

医師に関する情報 ジャン=バティスト・ラスカロウ、医学士

三次医療センター、CHD ヴァンデ(CHD Vendee)
内科・外科集中治療部
フランス、ヴァンデ
体温管理の院内実績 成人の心停止患者を対象に5年間にわたり体温管理を実施。ノンショッカブルの心停止後の低体温療法に関するHYPERION試験(NCT01994772)の治験責任施設。
 + 機器・手法  TTM試験の発表後だったが、Arctic Sun™ 5000 体温管理システムを 33℃に設定し24時間使用した。復温速度は0.25℃/時に固定した。

症例提示

患者年齢39歳男性
発見時の状況寝室であえぎ呼吸を示し、その場にいた妻が911に連絡した。
一次救命処置は妻によって開始された。妻が心停止を目撃した。
初回の所見SAMU(フランスのEMS)が現場に到着し、除細動器で1回ショックを与えた。ECG では、V5、V6 のST上昇およびD2の導出がみられた。血管造影は正常。心室細動あり。
患者が緊急状態にあった時間血流停止0分。低血流15分。
併存症アルコール乱用
病院到着時の患者の状態集中治療部(ICU)への到着時は鎮静下で昏睡状態であった。血管造影後、ICU入室時の患者体温は36.5℃(正常体温で、冠動脈の狭窄や閉塞はみられなかった)。4℃の等張生理食塩水2,000mLを患者に投与した。鎮静のためミダゾラムとフェンタニルを、またシバリング抑制のためシサトラクリウム*(20mg)のボーラスのみを投与した。
* 日本では未承認の薬になります
換気パラメータVT 500、RR20、PEP5、FiO2 100%
病院到着時の心調律心室細動
心拍再開(ROSC)までにかかった時間15分
治療開始前のグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)鎮静のため判定不能。
入院時の診断名入院時、早期発症肺炎が疑われ(左肺底の胸部浸潤、白血球数12,290)、細菌培養のため下部の気管支洗浄を行った。細菌は分離されなかったが、抗生剤(セフトリアキソンおよびメトロニダゾール)を開始し7日間継続した。
実施された神経学的検査および予後の判定37℃まで復温を行い終了した。その48時間後、覚醒が確認された。鎮静を中止してから14時間後に観察されたGCSは8で、その後は11、15と評価された。 発熱を回避するため、復温後Arctic Sun™ 5000 体温管理システムを48時間使用した。

冷却療法

事前冷却を開始した場所冠動脈造影用心臓ユニット
実施した事前冷却法等張生理食塩水
体温管理を開始した診療科集中治療部
メインの温度プローブの測定部位冠動脈造影用心臓ユニット
目標冷却体温33℃
目標温度の所要維持時間24時間
目標復温速度0.25℃/時
目標体温の到達にかかった時間
低体温療法/復温/常温療法に関連した合併症早期発症肺炎

院内プロトコルに準拠したか

「いいえ」の場合、その理由を簡潔に説明はい

シバリングに対する処置

神経筋遮断薬/鎮静薬ミダゾラムおよびスフェンタニル*
鎮静薬の種類静注
* 日本では未承認の薬になります

転帰

退院時の状態生存し、メンタルヘルス良好
退院時の脳機能カテゴリー(CPC)CPC1
6カ月時点のCPC(該当する場合)CPC1
退院時の患者のステータス:生存/死亡生存

概要

14日目に心臓専門医により埋め込み型除細動器が留置された。1年後の来院時、患者は職場復帰を果たしていた。

考察

体温管理療法中に33℃で徐脈(50/分)が認められたが、これは良好な予後因子であった。1

参考文献
1. Bradycardia During Therapeutic Hypothermia Is Associated With Good Neurologic Outcome in Comatose Survivors of Out-of-Hospital Cardiac Arrest. Staer-Jensen H et al. Crit Care Med. November 2014 - Volume 42 - Issue 11 - p 2401–2408


販売名: Arctic Sun 5000 体温管理システム  医療機器承認番号 : 22700BZX00278000
販売名: Arctic ジェルパッド         医療機器認証番号 : 226ADBZX00175000

※本レポートはBD TTM ヨーロッパチームが作成したものを日本語訳にしたものです。
※今回ご提示頂いた結果は、著者の臨床経験例によるもので、全ての症例に当てはまるものではありません。患者様の状態、特性によって結果が異なる場合があることにご留意ください。
※ 本資料は学術的情報の提供を目的としており実際のご使用に際しては、事前に必ず添付文書を読み、本製品の使用目的、禁忌・禁止、警告、使用上の注意等を守り、使用方法に従って正しくご使用ください。 本製品の添付文書は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品医療機器情報提供ホームページでも閲覧できます。