感染管理室という組織についてお聞かせください
感染管理室は、検査部内の組織として2000年7月に立ち上げました。現在は、医師4名、看護師1名、臨床検査技師3名で構成されています。いまのところ病院内の独立した組織にはなっていませんが、業務内容は検査部の組織というより完全に病院全体の感染管理に関わることが主となっています。近い将来独立させて「感染制御部」とすることも考えています。これにより、病院内でのICTの活動がより積極的に行えると期待しています。
ICTとは違うのでしょうか?
もちろん先に述べた感染管理室のメンバーはICTの構成員となっています。しかし、ICTにはその他に看護師、薬剤師、栄養師、事務職員が加わります。感染管理室のメンバーはいわば専任であり、その他のICTメンバーは兼務という形をとっています。つまり、感染管理業務に協力しているものの、それぞれが別の専門の分野をもっているということです。病棟ラウンドなどを実施する際などには、それぞれの専門分野に基づいて役割分担が決められ、スムーズな感染管理が行えるような体制をとっています。また、私ども感染管理室が、さまざまなアクションを起こそうとするとき、ICTのメンバーが情報を収集したり、委員会を通過させる道筋をつけたり、連絡を徹底するなどのさまざまな役目を担っています。これにより、実践的な感染管理活動が展開できるわけです。
感染管理室を立ち上げた際、どのようなご苦労がありましたか?
初めてICTラウンドを行った頃は、改善点などを指摘するとなんとなく気まずいような雰囲気を感じたことはあります。しかし、それは排他的ということではなく病棟ラウンドにまだなじみが薄かったことに起因するものだということがすぐに分かりました。とにかく、今まで病棟内に他の部署の人間が入るということがなかったわけですから、若干のとまどいは当然でしょう。しかし、何回もラウンドしていくうちに、現場の職員が積極的に意見を言ってくれるようになりました。また、いろいろな手技・操作についてマニュアルに書いていないような場合、部署によりその手順や方法が違うという実態がありました。これらを院内で統一するには多くのステップと時間を要しました。
感染対策の徹底に何か工夫されているのでしょうか?
感染管理は、病院全体に関わることであり一つのことを決めても院内で徹底されないと意味がありません。しかし、大きな組織ほど徹底することは難しくなります。東北大学病院も比較的大きな組織であり、徹底するということを得意としていないかもしれません。例えば、感染管理の手法を変更したり新たな取り決めをするときには、まず現場に出向きディスカッションを十分に行うという地道な活動を行ってきました。そのように理解してもらうことが一番の近道です。その他にも、決定事項は極力、委員会に通す、書類を回覧する、学内コンピュータに載せる、医局長あてに徹底をお願いするなど考えられるあらゆる手段を使っています。一つの方法で十分ということはないと考えています。「する」ということの王道はないと思っています。