1-5. 手当

感染した後の治療のみならず、それを防ぐ予防も含む。

予防

イラスト:診察風景
・適切で十分な栄養を取ること(暴飲暴食は厳禁)。十分な睡眠。

・外から戻ったら必ず手洗い、そしてうがい。手洗いは良く泡立てた石けんを使用して行い、1分以上ゴシゴシした後、流水で流す。

・インフルエンザが流行しているときは、人混みを避ける。

・インフルエンザの流行に備え、*ワクチンを接種する。

治療

感染(顕性感染)が確認された後に患者へ行う処置。

細菌や真菌、原虫、寄生虫などの場合は、抗生物質(今は抗菌薬と呼ぶことが多い)を投与(注射や飲み薬)して病原菌を除く。


抗生物質
ペニシリン、ストレプトマイシン、バンコマイシンなど100種類以上のクスリが使用されている。

ウイルスの場合はインフルエンザなど一部のウイルスを除き、直接効くクスリ(抗ウイルス薬)が無いので、熱を下げる、痛みを抑える、下痢を止めるなど、症状を抑えるための処置がとられる。

抗生物質や抗ウイルス薬による治療を**原因療法、症状を抑えるための処置を***対症療法という。
*ワクチン
病原体に対する、特異的な免疫力を高めるためのクスリ(予防薬)。

特異的な免疫力を高めるとは、インフルエンザのワクチンはインフルエンザの感染だけを防ぎ、百日咳のワクチンは百日咳の感染だけを防ぐ…と言うことで、何にでも効果のあるワクチンはまだない。

人のためのもの(インフルエンザ、日本脳炎、ポリオ(小児麻痺を起こす)、はしか、風疹、おたふくカゼ、百日咳菌 など)だけでなく、動物のためのものもある(狂犬病、ジステンパー など)。


**原因療法
感染のもと、原因である病原菌を除くのでこのように呼ばれる。近年、非常に強力な抗生物質が開発されて、広い範囲(多くの種類の菌)の感染症へ使われるようになったが、あまりに安易に使いすぎ、これに抵抗するような菌(耐性菌;MRSA(ペニシリン、セファロスポリンの効かない黄色ブドウ球菌)、VRE(ブイアールイー;バンコマイシンの効かない腸球菌)など)の出現を招くようになった。


***対症療法
原因療法がない場合(特にウイルス感染症)に、感染した患者の症状を抑えるための、例えば熱を下げる(解熱薬を投与)、痛みを止める(鎮痛薬を投与)、下痢を止める(止寫薬;ししゃやくを投与)と言った治療法。

但し、やみくもに症状を抑えない方が良いとも言われはじめ、特に、ライ症候群(脳症(嘔吐、意識障害など)を起こし、死亡率高い)に注意するため、小児への安易な解熱鎮痛薬投与は避けられるようになっている。