インフルエンザウイルスはエンベロープをもつ一本鎖RNAウイルスで、オルソミクソウイルス科インフルエンザウイルス属に属する。わが国で冬季に流行するインフルエンザはA型とB型で、その遺伝子は8本のRNA分節に別れていて、エンベロープ上には血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)のスパイク様構造をもつ。
HAとNAはpoint mutation(点変異)による抗原性の変化(連続変異: antigenic drift)が徐々におこり、その変異が大きければ、既往があってもそれまでの免疫で対応できず多くの人が罹患する。毎年ワクチン株を選定するのはこの変異に対応するためである。
A型はHAとNAの異なる亜型に分けられ、それまで流行していたウイルスとは異なる亜型のウイルスが突然出現することがあり、これを不連続変異(antigenic shift)という。ヒトとトリのウイルス間の遺伝子再集合(遺伝子の交換)によるとされ、人類にとって全く未経験の新型ウイルスであるため、世界的な大流行(pandemic)となる可能性がある。