図2は、感染率の削減に伴う費用削減の概念を示したものである
3)。Aのラインが示す通り、院内感染の罹患率を0.01%に抑えるには1,500,000 ドル(約1.7億円)、5%に抑えるには393,661 ドル(約4,300万円)の投資が必要である(P1→P2)。モデルの様な費用対効果を実際に施設ごとに示すことは難しく、多くの文献は他の文献の原価を引用して院内感染対策の効果を検討している。
Robertsらは病院の経費を、各部門の従業員の人数または面積により分配し
4)、部門内の経費は各業務および配置された人数により配分した。また、入院患者の全経費を調べ、重回帰分析
* による経済モデリング法を用いて院内感染による入院費の影響を検討した。モデル1では疾患の影響を補正するため、APACHEスコア
** と入院費を検討し、モデル2では独立変数として院内感染を追加した。モデル3ではAPACHEスコア、院内感染およびICU滞在期間を同時に検討した。検討の結果、Robertsは疾病による因子で補正を加えても、院内感染は1患者あたり平均15,275 ドルの入院経費が増加することを証明した。